どうも、砕刃です。
今回は介護保険について詳しく解説していきたいと思います。
日本の高齢化率は28.1%となっています。(令和元年度版 高齢社会白書より)
つまり10人いたら、およそ3人は65歳以上ということになります。
高齢化社会は増加する一方
28.1%という数字は上昇傾向にあり、日本の高齢者数は過去最高を更新し続けています。
つまり、今後も高齢者は増える予定であり、増加する医療費・介護費の負担は社会全体で負担するというシステム。
若い世代がその保険料を負担しないといけないということになります。
2025年には団塊の世代が70歳以上を迎える
2025年には第1次ベビーブームだった頃の「団塊の世代」と呼ばれる人たちが70歳以上になります。
最近は70歳でも元気に畑仕事やスキルを持っている人は現役と同じように働いている方もたくさんいます。
しかし、年々体の不調が出てくるものです。
何かの病をきっかけに一気に老けたなんて人も周りにいるかもしれませんね。
下の表は高齢者の人口割合の推移です。
2025年には折れ線グラフが30%を超え、2040年には35%を超えると予想されています。
ここから本題
高齢者の介護は、家族だけでなく、社会全体で支えなければならないとして、
1997年(平成9年)に介護保険法が制定されました。
介護保険は相互扶助の考えにより、「社会保険」として運用されている。
社会保険とは、「公的保険」のことで、全員加入が必須で強制的に集められ、税金も投入して運用されている。
社会保険には以下の5つがある。
- 医療
- 年金
- 雇用
- 労災
- 介護
介護保険は2000年にスタートした。
介護保険を利用するには条件がある
高齢者が骨折し、車いす状態になったから介護保険を利用したいと思っても、すぐには使えません。
介護保険を利用するには「要介護・要支援」の状態であると認定されなければならない。
市町村に「あなたは要支援または要介護の状態です」と認定されることが条件です。
これを「要介護認定・要支援認定の申請」といいます。
要介護認定の申請方法は
申請は市町村の役場窓口に行って手続きをします。
必要な書類は以下の2点です。
- 介護保険被保険者証(または医療保険の被保険者証)
- 要介護認定申請書
申請には原則、本人が行くことになっていますが、代理や代行をしてもらうことも可能です。
代理と代行の違いとは
家族が窓口に必要書類を提出することを代理といいます。
家族が窓口に行った場合、もし書類に不備があった時は訂正など本人の意向を伝えるとこができます。
これが代理です。
第三者が窓口へ必要書類を持っていく事を代行といいます。
こちらは、窓口で必要書類を提出するだけで、訂正や本人の意思表示はできません。
第三者とは、主に介護支援専門員(ケアマネ)や介護サービスを提供している事業所が該当します。
代理と代行は似ているようで、できる事には差があるんです。
認定調査申請の代行手数料は無料となっている。
認定調査について
申請した被保険者が「要支援・要介護状態」か「区分はどうなるのか」を確認し、判定する。
それを認定調査といいます。
認定調査員が被保険者の自宅等を訪問し、74の基本調査項目すべての状態を記録します。
認定調査の基本調査項目は全国一律で地域性などによる差はありません。
また、うまく伝わらない場合には特記事項として記載されるものもある。
認定調査員は誰でもできるのか?
介護度を決める厳格な調査のため、認定調査員になるためには研修などを受講し、一定の知識を持つと認められた者だけが認定調査員になれます。
公平・中立な立場で調査を行う必要があるため、新規認定調査は市町村の職員が行います。
更新認定は以下の者が行うことができます。
7つの基礎調査項目
基礎調査項目には大きく分けて7つあります。
①身体機能・起居動作に関する項目 | 身体麻痺の有無、寝返り、歩行、洗身、視力、聴力 |
②生活機能に関する項目 | 移動、嚥下、排尿、洗顔、衣服の着脱など |
③認知機能に関する項目 | 意志の伝達、生年月日や名前を言う、徘徊の有無など |
④精神・行動障害に関する項目 | 作話、感情の不安定さ、大声を出す、ひどい物忘れ、独り言など |
⑤社会生活への適応に関する項目 | 薬の内服、金銭の管理、集団への不適応、買い物など |
⑥特別な医療に関する項目 | 過去14日間に受けた特別な医療 |
⑦日常生活自立度に関する項目 | 障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)、認知症高齢者の日常生活自立度など |
実際に使用されている認定調査票はこちら
調査項目も出題されますので、要チェックです☆
有効期間
要介護の必要があると認定されると介護保険被保険者証が交付されます。
認定期間は毎回同じというわけではなく、状態が変化する可能性があることを考慮して決められます。
初回の新規認定では原則6か月。更新認定では原則12ヶ月の有効期間が付けられます。
初回認定の有効期間開始日は認定日ではなく、申請日から6か月となっています。
新規認定 | 更新認定 | 区分変更認定 | |
---|---|---|---|
認定有効期間 | 原則6か月 | 原則12ヶ月 | 原則6か月 |
延長可能期間 | 3ヶ月~12ヶ月 | 3ヶ月~36か月 | 3ヶ月~12ヶ月 |
開始日 | 申請日 | 前回の認定期間満了の翌日 | 申請日 |
認定調査員 | 市町村職員 | 市町村職員又は、他の機関への依頼も可能 | 市町村職員 |
まずは初回認定では半年、更新認定は1年が基本だということを覚えましょう
申請した日から有効期間になる点も重要です
何歳から介護保険は利用できるのか
介護保険は介護が必要であると認定されて初めて利用することができます。
単純な骨折だけでは不注意や事故として認定されませんが、加齢が関係していると認められ、要支援または要介護認定がされると利用可能となります。
年齢については介護保険料を支払い始める40歳から認定申請をすることは可能です。
40歳(第2号被保険者)が要介護認定されるには条件がある
40歳~65歳までの間に要介護認定を受けるには特定疾病が原因である必要があります
特定疾病とは、16種類あり40歳以降に発症しやすいとされています。
以下の一覧を確認してください。
- 末期がん
- 関節リウマチ
- 筋委縮性側索硬化症(ALS)
- 後縦靭帯硬化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺およびパーキンソン病
- 多系統萎縮症
- 脳血管疾患
- 早老症
- 脊髄小脳変性症
- 変形性関節症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 脊柱管狭窄症
- 糖尿病型神経障害、網膜症
- 閉塞性動脈硬化症
この特定疾病は第2号被保険者が要介護認定を受ける際に、該当するかどうかが認定の条件になります。
65歳以上の第1号被保険者は認定調査票において必要だと認められると交付されます。
さいごに
要介護度認定の申請・認定・利用年齢についてまとめました。
それでは、過去問を出題するのでチャレンジしてみてください☆
次回は料金について学習していきたいと思います♪
第22回試験問題(令和元年度)
要介護認定の認定調査について正しいものはどれか。2つ選べ。
- 被保険者が必要な調査に応じない場合は、市町村は認定の申請を却下しなければなならない。
- 新規認定の調査は、地域包括支援センターに委託できる。
- 更新認定の調査は、指定居宅介護支援事業者に委託できる。
- 指定市町村事務受託法人は、認定調査を実施できる。
- 遠隔地に居住する被保険者からの認定の申請があった場合には、現に居住する市町村が調査を実施しなければならない。
1、× 被保険者が正当な理由なく、調査に応じないときは、市町村は被保険者の申請を却下することができる
2、× 原則は市町村職員が行うこととされているが、都道府県が指定した指定市町村事務受託法人にかぎり、認定調査を委託できる。
3、〇 更新認定は指定居宅介護事業者に委託できる
4、〇 指定市町村事務受託法人は、新規、更新、区分変更のいずれも認定調査を実施できる。
5、× 被保険者が遠隔地に住んでいる場合は、他市町村に調査を依頼することができる。
第21回試験問題(平成30年度)
要介護認定について正しいものはどれか。3つ選べ。
1、認定調査票の基本調査項目には、口腔清潔に関する項目が含まれる。
2、認定調査票の基本調査項目には、主たる介護者に関する項目が含まれる。
3、認定調査票の基本調査項目には、集団への不適応に関する項目が含まれる。
4、要介護認定等基準時間の算定の合算対象には、疼痛の看護が含まれる。
5、要介護認定等基準時間の算定の合算対象には、認定調査票の特記事項の内容が含まれる。
1、〇 基本調査項目は、7つの関連する項目から構成されている。口腔清潔に関する項目は生活機能に含まれている。
2、× 認定調査票は、利用者の心身の状況などを把握するためのものであり、主たる介護者や資産に関する項目は含まない。
3、〇 集団への不適応に関する項目は「社会生活への適応」に関する項目に含まれている。
4、〇 疼痛の看護に関する項目は「特別な医療に関連する項目」に含まれている。
5、× 1次判定ではコンピューターにより、基準時間が算出される。特記事項の内容は2次判定で重要な資料となっている。
第19回試験問題(平成28年度)
要介護認定に係る主治医意見書における「医学的管理の必要性」の項目として正しいものはどれか。3つ選べ
1、訪問薬剤管理指導
2、訪問保清指導
3、訪問栄養食事指導
4、訪問歯科衛生指導
5、訪問飲水管理指導
1、〇 主治医意見書における「医学的管理の必要性」の項目には、訪問診療、訪問看護、訪問歯科診療、訪問薬剤管理指導、訪問リハビリテーション、短期入所療養介護、訪問歯科衛生指導、訪問栄養食事指導、通所リハビリテーションがある。
2、× 訪問保清指導という項目はない。
3、〇 訪問栄養食事指導は含まれている。
4、〇 訪問歯科衛生指導は含まれている。
5、× 訪問飲水管理指導という項目はない。