地域支援事業について

介護保険
この記事は約9分で読めます。

どうも、砕刃です。

地域支援事業とはなんでしょうか?

2005年(平成17年)からスタートした事業で、地域の保健医療の向上、福祉の増進を包括的に支援する事を目的としています

今回はその地域支援事業の事業内容を詳しく見ていきたいと思います。

スポンサーリンク

地域包括支援事業とは?

地域包括支援事業は、できるだけ自宅で生活ができるよう医療と介護の連携や、認知症施策の推進などを行っています。

2005年(平成17年)にスタートし、2014年(平成26年)に大幅な見直しがされ、現在に至る。

地域包括支援事業の目的設置主体職員配置基準について説明し、事業の内容についてまとめていきます。

包括支援の目的

地域の保健医療の向上、福祉の増進を包括的に支援すること

被保険者が要介護状態等となることを予防するとともに、要介護状態等となった場合においても、可能な限り、地域において自立した日常生活を営むことができるよう支援する。

在宅医療や介護の連携体制が取れる支援体制を作り上げていく。

包括的=全体をまとめるという意味

包括支援事業は大きく3つに分けられます。

1、介護予防・日常生活支援総合事業

2、包括的支援事業

3、任意事業

介護予防・日常生活支援総合事業

市町村が主体となって、地域の高齢者に対してサービスを展開しています。

総合事業という名称で、第1号事業(介護予防・日常生活支援総合事業)と一般介護予防事業とに分けられます。

介護が必要な高齢者を増やさない」という考えの元で行われています。

違いを表にしてみましたので見てみましょう。

第1号事業一般介護予防事業
対象者要支援者か基本チェックリストの該当者で
第1号被保険者(65歳以上)
第2号被保険者(40歳以上)
要支援者・要介護者・基本チェックリスト該当者・それ以外の
第1号被保険者のみ
サービス内容訪問型サービス
通所型サービス
生活支援サービス
介護予防ケアマネジメント
介護予防把握事業
介護予防普及啓発事業
地域介護予防活動支援事業
一般介護予防事業評価事業
地域リハビリテーション活動支援事業

地域包括支援センターは業務の一部を指定居宅介護支援事業者委託することが出来ます。

利用は居住している地域の包括支援センターに限定されています。隣の市町村の包括支援センターを利用することは出来ません。

利用者の希望するサービスなどに応じて、サービス担当者会議モニタリングを適宜省略したり、アセスメントのみにする事が可能である。

基本チェックリスト

基本チェックリストってなに?

65歳以上の高齢者が自分の生活や健康状態を振り返り、心身の機能で衰えているところがないかどうかをチェックするためのもの

内容も第19回の試験で出題されました。内容にも目を通しておきましょう。

  1. バスや電車で、一人で外出していますか
  2. 日用品の買い物をしていますか
  3. 預貯金の出し入れをしていますか
  4. 友人の家を訪ねていますか
  5. 家族や友人の相談にのっていますか
  6. 階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか
  7. 椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がっていますか
  8. 15分位続けて歩いていますか
  9. この1年間に転んだことがありますか
  10. 転倒に対する不安は大きいですか
  11. 6ヶ月間で2kgから3kg以上の体重減少がありましたか
  12. 身長(cm)と体重(kg)およびBMI(注)
  13. 半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか
  14. お茶や汁物等でむせることがありますか
  15. 口の渇きが気になりますか
  16. 週に1回以上は外出していますか
  17. 昨年と比べて外出の回数が減っていますか
  18. 周りの人から「いつも同じ事を聞く」などの物忘れがあると言われますか
  19. 自分で電話番号を調べて、電話をかけることをしていますか
  20. 今日が何月何日かわからない時がありますか
  21. (ここ2週間)毎日の生活に充実感がない
  22. (ここ2週間)これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった
  23. (ここ2週間)以前は楽にできていたことが今はおっくうに感じられる
  24. (ここ2週間)自分が役に立つ人間だと思えない
  25. (ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする

(注)BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)が18.5未満の場合に該当とする

包括的支援事業

地域で高齢者を包み込むように支えていく事業として地域包括支援センターが設立され、8つの事業を行っています。

8つの内3つは委託も可能となっています。(社会保障充実分という)

①第1号介護予防事業

基本チェックリスト該当者に対してケアプランを作成するなどのケアマネジメントを行う。

②総合相談支援業務

高齢者やその家族の相談を受け付け、その状況を把握し、関係機関につなげていく

③権利擁護業務

高齢者虐待の早期発見や帽子など、高齢者の権利を守るための活動を、制度や法律を活用しながら行っていく

④包括的・継続的ケアマネジメント支援業務

地域の介護支援専門員に対してアドバイス等を行う

⑤在宅医療・介護連携推進事業

医療・介護の関係機関の連携を進めるために、会議や研修等を開催する。

  • 地域住民への普及啓発
  • 医療・介護関係者の研修
  • 地域の医療・介護支援の把握

保健所や医師会などが委託可能

⑥生活支援体制整備事業

総合事業の中にある「第1号事業」を充実させるために、人材の発掘や育成、さらには連携を進めていく

社会福祉協議会などが委託可能

⑦認知症総合支援事業

認知症の早期発見や、認知症の被保険者とその家族に対するサポートを行う

精神科病院などが委託可能

⑧地域ケア会議推進事業

市町村の設置が努力義務となっている地域ケア会議の運営に関する業務を行う

地域包括支援センター

地域包括支援センターは包括的支援事業の一つで2006年(平成18年)からスタートしました。

現在は4つの事業を担当しており、

①第1号介護予防事業

②総合相談支援業務

③権利擁護業務

④包括的・継続的ケアマネジメント支援業務

以上の4つの業務があります。

地域包括支援センターは生活圏内に一つ配置されており、市町村内に複数存在します。

問題や情報の共有のために、地域包括支援センター運営協議会市町村に1つ設置されています。

設置主体

市町村が設置する。(市町村から包括的支援事業の委託を受けた者も設置することができる)

職員配置

保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員の3職種が配置されている。

さいごに

地域支援事業について少しは理解できたでしょうか?

大きく3つの事業に分けられ、さらにサービス内容を細分化されている事がわかったと思います。

過去問にチャレンジし、改めて学習することで覚えるべき要点を理解できると思います。

第22回試験問題(令和元年度)

地域支援事業のうち包括的支援事業として正しいものはどれか。3つ選べ。

  1. 生活支援体制整備事業
  2. 介護予防把握事業
  3. 認知症総合支援事業
  4. 介護給付等費用適正化事業
  5. 在宅医療・介護連携推進事業
  1.  生活支援体制整備事業では、市町村が中心となって、生活支援コーディネーター(地域支えあい推進員)や協議体の設置などを通じて、生活支援サービスの開発・創出に取り組んでいる。
  2. × 介護予防把握事業は、介護予防・日常生活支援総合事業の一般介護予防事業に含まれる。
  3.  認知症総合支援事業では、認知症初期集中支援チームを設置し、認知症の早期診断、早期対応のための支援や、認知症地域支援推進員による相談対応などを行っている。
  4. × 介護給付等費用適正化事業は、介護給付・予防給付の費用の適正化を図る事業であり、市町村が地域の実情に応じて実施する任意事業に含まれる。
  5.  在宅医療・介護連携推進事業は、地域の医療・介護の資源の把握や医療・介護関係者の研修、地域住民への普及啓発などを行い、在宅医療と介護サービスを一体的に提供する体制の構築を推進する。

第22回試験問題(令和元年度)

第1号介護予防支援事業の実施について正しいものはどれか。2つ選べ。

  1. 地域包括支援センターは、指定居宅介護支援事業所に委託することが出来ない。
  2. 利用者本人が居住していない地域の地域包括支援センターでも、実施が可能である。
  3. 介護予防ケアマネジメントについては、サービス担当者会議を行う必要がない場合がある。
  4. 介護予防ケアマネジメントについては、モニタリングを行う必要が無い場合がある。
  5. 要支援者は、対象とならない。
  1. × 第1号介護予防支援事業は、地域支援事業で実施する介護予防ケアマネジメントである。市町村から事業の委託を受けた地域包括支援センターは、その事業の一部を指定居宅介護支援事業者委託することが出来る。
  2. × 地域密着型サービスや地域支援事業、介護予防支援は利用者がその市町村の被保険者に限定されるため、居住していない地域の地域包括支援センターは利用できない。なお、その市町村の被保険者でない住所地特例対象者については、制度改正により居住地の地域密着型サービス、介護予防支援、地域支援事業の利用が可能となっている。
  3.  第1号介護予防支援事業では、利用者の状態や希望するサービスなどに応じて、介護予防支援と同様の原則的なケアマネジメントのプロセスとしたり、サービス担当者会議やモニタリングを適宜省略したり、アセスメントのみにしたりすることも可能である。
  4.  必要に応じ行わないこともできる。
  5. × 第1号介護予防支援事業の対象となるのは、総合事業のみを利用する要支援者基本チェックリストに該当した第1号被保険者。

第21回試験問題(平成30年度)

地域支援事業の在宅医療・介護連携推進事業として市町村が実施することとされているものはどれか。3つ選べ。

  1. 地域住民への普及啓発
  2. 医療・介護関係者の研修
  3. 地域在宅医療推進員の設置
  4. 地域の医療・介護支援の把握
  5. 地域リハビリテーション活動支援体制の構築
  1.  在宅医療・介護推進事業は、地域支援事業の包括支援事業の一つである。
  2.  事業には、「医療・介護関係者の研修」が含まれる。
  3. × 事業には、「地域在宅医療推進員の設置」は含まれない。
  4.  事業には、「地域の医療・介護の資源の把握」が含まれる。
  5. × 事業には、「地域リハビリテーション活動支援体制の構築」は含まれない。

第19回試験問題(平成28年度)

介護予防の基本チェックリストの質問項目として正しいものはどれか。3つ選べ。

  1. 15分くらい続けて歩いていますか。
  2. 部屋の掃除ができますか。
  3. 調理ができますか。
  4. 預貯金の出し入れをしていますか。
  5. 口の渇きが気になりますか。
  1.  介護予防の基本チェックリストには、運動機能の低下口腔機能の低下低栄養状態閉じこもり認知機能の低下うつの可能性などに関する、介護予防ニーズを確認するための質問項目がある。設問は運動機能に関する質問項目としてあげられている。
  2. × 部屋の掃除に関する内容は基本チェックリストの質問項目にあげられていない。
  3. × 調理に関する内容は基本チェックリストの質問項目にあげられていない。
  4.  預貯金の出し入れに関する内容はIADLに関する質問項目として挙げられている。
  5.  口渇に関する内容は口腔機能に関する質問項目としてあげられている。

第18回試験問題(平成27年度)

包括的支援事業の事業として正しいものはどれか。3つ選べ。

  1. 総合相談支援
  2. 包括的・継続的ケアマネジメント支援
  3. 第1号訪問事業
  4. 権利擁護
  5. 介護予防リハビリマネジメント
  1.  総合支援業務では、高齢者を適切な支援につなぎ、継続的な見守りを行うための地域におけるネットワーク構築。
  2.  包括的・継続的ケアマネジメント支援業務では、地域の介護専門員と関門員が包括的・継続的ケアマネジメントを行えるように支援する。
  3. × 第1号訪問事業は、介護予防・日常生活支援総合事業の介護予防・生活支援サービス事業として行われる事業である。
  4.  権利擁護業務では、生年後後見制度の活用促進や高齢者虐待への対応、消費者被害を防止するための情報提供などをおこなう。
  5. × 介護予防リハビリマネジメントという言葉はない

タイトルとURLをコピーしました