介護報酬

介護保険
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どうも、砕刃です。

前回の記事では介護保険について解説しました。(介護保険の記事はこちら)

今回は介護に関する料金について詳しく見ていきたいと思います!

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介護報酬は円ではなく単位で計算される

介護保険制度には多くのサービスがあります。

その内容の1つ1つに報酬額が決められています。

事業者(施設)が被保険者(高齢者)に対して行ったサービスの対価を受け取るので、介護報酬と呼ばれます。

事業者は被保険者に介護サービスを行い、被保険者は事業者に1割の料金を支払います。

残りの9割は保険者が事業者に対して支払うという3角形の方式になっています。

厚生労働省(介護報酬の仕組みより引用)

この時の保険者は国民健康保険連合会国保連)です。

国保連では介護報酬の請求が正しいかどうかを審査し、支払います。

介護報酬の支払いは2ヶ月後となっており、4月中に行われたサービス分は6月に支払われます。

介護報酬は単位で表されます。支払い時は円換算され、基本的に1単位=10円となっている。

支給限度基準額は4種類ある

国の財源には限りがあります。

介護サービスは要支援度・要介護度ごとに月の上限額を設定しています。

これを支給限度基準額といいます。

その種類は大きく分けて4つに分類されます。

1、区分支給限度基準額

要支援・要介護度ごとに月の上限が単位数として設定されている。

重度な被保険者ほど、多くの介護サービスを受けられるようになっている。

上限を超えて利用した分については、実費負担(10割)となる。

他の3つの支給限度基準額に当てはまる場合はこの区分支給限度基準額には含まれない

福祉用具購入費は別で上限額が設定されているので、区分支給限度基準額には含まれない

福祉用具貸与は区分支給限度基準額に含まれる

2、福祉用具購入費

福祉用具購入の上限は1年間で10万円が設定されています。

3、住宅改修費支給限度基準額

簡単な住宅のバリアフリー工事に対して、住宅改修を行った場合に20万円の上限が設定されています。(1割から3割が自己負担のため、給付額は14万円から18万円が上限になる。)

上限が20万円ということで、複数回に分けて工事をすることも可能(例:10万円と10万円)

支給額は一人に対して、夫婦2人が対象となっていれば、合計で40万円までが対象となる

改修できる項目は5つあります。

1、手すりの付け替え
2、段差の解消
3、床、通路面の材料の変更
4、扉の取替
5、便器の取替え

道路から、玄関までの道を砂利からアスファルトに変更する工事も対象になります。

再度住宅改修費を受けるには2つの場合があります。

引っ越しなどで、住居が替わった場合には新たに住宅改修費を請求できる。

介護度が3段階上がる。(要介護度1から要介護度4)

ケアマネは保険者に対する事前申請事後報告を行う。

住宅改修には、事業者指定の制度が設けられていない。

つまり誰でも行うことができる。

こんな改修工事は対象外


・自動ドアに取替た場合の動力部分
・落下防止目的の手すり設置
・工事を伴わない手すりなどの設置(福祉用具貸与対象)
・持ち運びできる踏み台の設置(福祉用具購入対象)
・カーペットやノンスリップマットの設置
・洋式便器に洗浄機能を取り付ける

4、種類支給限度基準額

種類支給限度基準額とは、少ないサービスを公平に利用できるように、条例で利用できる上限を設定されたサービスの事を言います。

地域的に提供できるサービス量が著しく少ない場合などに設定されます。

定員20名の通所介護が1つしかない地域に利用したい人が150人いる場合など、公平に利用できるよう、通所介護は月〇〇単位まで特定のサービスの種類別に市町村は条例で決めることが出来ます。

利用者負担の基本は1割

介護保険のサービスを利用する時、そのサービスにかかる費用の利用者負担は1割です。

しかし、高齢化社会となっている日本では介護保険財政の悪化は深刻な問題となっています。

そのため、一定の所得がある第1号被保険者(65歳以上)の方については、2割または3割の負担になっています。

それぞれの利用者が何割の負担になるかは介護保険負担割合証に記載されます。

支給限度基準額が設定されないサービスもある

以下の11つのサービスは限度額の対象外となっています。

  • 居宅療養管理指導
  • 介護予防居宅療養管理指導
  • 特定施設入居者生活介護(短期利用を除く)
  • 介護予防特定施設入居者生活介護(短期利用を除く)
  • 認知症対応型共同生活介護(短期利用を除く)
  • 介護予防認知症対応型共同生活介護(短期利用を除く)
  • 居宅介護支援
  • 介護予防支援
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
  • 施設サービス

居宅療養管理指導や「居住系サービス」、「施設サービス」は他のサービスと組み合わせる事が無いので、限度額が設定されていないと覚えましょう。

サービス全ての利用者負担が1割ではない

サービスの中には利用者負担1割の対象外となる物もあります。

それは、食費居住費(家賃・光熱費)、日常生活費(理容代・娯楽代など)本人希望の特別サービスがあります。

それらの費用は全額負担となっています。

低所得者を助ける制度もある。それは補足給付

全額自己負担だと、食費や居住費を払えない利用者は追い出されてしまう事になります。

そうならないために、補足給付(特定入所者介護サービス費)という制度があります。

低所得者に対して自己負担できる上限を決め、それを上回る分については保険者が支払ってくれるというものです。

これにより、貧しい人でも平等に介護を受けることができます。

サービスにより、自己負担にならない費用もある

おむつ代については、入所系サービスとその他のサービスとで自己負担が変わってきます。

入所系サービスの施設・短期入所生活介護・短期入所療養介護ではおむつ代は施設負担で、利用者の負担はゼロです。

その他の通所介護や小規模多機能型居宅介護などでは、おむつ代は全額利用者負担となります。

保険給付とは

お金で支払われる給付を金銭給付サービスの提供が現物給付といいます。

金銭給付の場合、後払いでお金が返ってくるシステムになっています。これが償還払いと言います。

10万円の浴槽を買ったら、9万円返ってくる!!」(1割負担分差し引かれて)

さいごに

介護報酬の料金・支給限度基準額・利用者負担についてまとめました。

それでは、過去問を出題するのでチャレンジしてみてください☆

次回はサービス内容について学習していきたいと思います♪

第21回試験問題(平成30年度)

支給限度基準額について正しいものはどれか。3つ選べ

  1. 福祉用具貸与には、区分支給限度基準額は適用されない。
  2. 福祉用具購入費には、区分支給限度基準額は適用されない。
  3. 居宅療養管理指導には、区分支給限度基準額は適用されない。
  4. 転居した場合には、改めて支給限度基準額まで居宅介護住宅改修費の支給を受ける事ができる。
  5. 地域密着型サービスには、居宅介護サービス費等種類支給限度基準額は適用されない。

1、× 福祉用具貸与には、区分支給限度基準額は適用されない。

2、 福祉用具購入費には、単独で福祉用具購入費支給限度基準額が設定され、区分支給基準限度額は適用されない。同一年度で10万円と設定されている。

3、 居宅療養管理指導は、介護報酬上、1ヶ月で算定できる回数が定められ、区分支給限度基準額は適用されない。

4、 住宅改修費支給限度基準額は、同一の住宅については20万円と設定されている。転居した場合は再度支給が受けられる。

5、× 居宅サービスと地域密着型サービスはひとつの区分のサービスとしてまとめ、支給限度額を設けている。市町村は特定のサービスに種類支給限度基準額を定めることが出来る。つまり地域密着型サービスにも種類支給限度基準額の設定は可能である。

第18回試験問題(平成27年度)

介護保険法における消滅時効について正しいものはどれか。3つ選べ

  1. サービス事業者の介護報酬請求権は、5年である。
  2. 償還払い方式による介護給付費の請求権は、2年である。
  3. 法定代理受領方式による介護給付費の請求権は、2年である。
  4. 償還払い方式の場合の起算日は、利用者が介護サービスの費用を支払った日である。
  5. 介護保険料の督促は、時効中断の効力を生ずる。

1、× 権利を行使しない状態が一定期間継続すると、その権利が法的に消滅する制度を消滅時効という。介護保険法では2年を経過したときに時効となる。

2、 選択肢1の説明のとおり、時効は2年である。

3、 選択肢1の説明のとおり、時効は2年である。

4、× 償還払い方式の場合、時効は介護サービスの費用を支払った日の翌日を起算日として2年である。

5、 市町村から介護保険料の督促があった場合には無条件で時効中断の効力を有する

第20回試験問題(平成29年度)

高額介護サービス費の支給について正しいものはどれか。2つ選べ

  1. 第1号被保険者である生活保護の被保護者は、対象とならない。
  2. 居宅要支援被保険者は、対象とならない。
  3. 施設サービスの食費は、対象となる。
  4. 施設サービスの居住費は、対象とならない。
  5. 負担上限額は、所得によって異なる。

1、× 要介護認定を受けている生活保護の被保護者は、第1号被保険者、第2号被保険者ともに高額介護サービス費の支給の対象となる。

2、× 居宅要支援被保険者は、予防給付の高額介護予防サービス費の支給対象となる。

3、× すべてのサービスにおいて、食費は高額介護サービス費の支給の対象外となる。

4、 記述の通り、居住費、食費、滞在費、日常生活費は高額介護サービス費の対象とならない

5、 記述のとおり、高額介護サービス費は、所得に応じた負担上限額が設定されている。

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